実は治せない、認知症の恐怖
認知症の特効薬はなく、ひとたび発症すれば「話せない、歩けない、食べられない」状態、最終的には合併症で死に至ります。認知症を防ぐには、とにかく早期対策。脳トレが効くとも言われますが、実際のところどうなのでしょう。検証に加え、さまざまな物忘れ対策を紹介しています。
監修者:とよだクリニック
豊田早苗院長
認知症発症者の年齢別割合
参照元:厚生労働省公式HP https://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/03/h0319-2.html
認知症は60歳以降に発症するものだと思い込んでいませんか。グラフを見てもおわかりのとおり、実は50代の発症率が一番高いのです。認知症の発症の平均年齢は、なんと51.3歳。しかも認知症は25年前からスタートしているとも言われます。
いま身近に起こっている物忘れが単なる加齢によるものではないかもしれないということを、認識すべきです。
物忘れ?認知症?
下記に挙げたのは、認知症の代表的な症状です。
自分自身や家族の行動・言動をチェックしてみましょう。
加齢による物忘れと認知症の大きな違いは、忘れていること自体を忘れてしまっているということです。たとえば、いつも同じことを言っていると言われるのは、以前に話したことを忘れてしまっているから。ひとつでも当てはまるという方は、すでに認知症が進行している可能性があります。
認知症を発症すると、根治は難しいのが現状です。
認知症は大きく分けて4つありますが、どんな症状が起きてしまうのでしょうか。
アルツハイマー型認知症は徐々に脳が委縮する病気で、認知機能が低下していきます。認知症患者でもっとも多いのが、この病気です。
記憶障害に加え、実行機能の障害、判断力の低下などが起こり、末期になると人格が変化したり、寝たきり、会話ができないという状態にも。
認知症全体の20%を占めるのが、このレビー小体型認知症です。女性よりも男性によく見られる症状で、記憶障害と視覚認知の障害が特徴です。歩行不可能や寝たきり、肺炎の繰り返しといったパーキンソン病の症状と同様の症状が表われることが多いのも特徴です。
脳血管性認知症とは、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血など脳の血管障害を併発する認知症のこと。発症しやすいのは60歳以降。生活習慣病に密接に関係している病気のため、高血圧や高脂血症の人は注意が必要です。
前頭側頭型認知症はピック病ともいわれ、40代から発症しうる病気です。脳にある前頭葉と側頭葉が委縮し、理性的な行動がとれなくなります。とくに特徴的な症状が「人格の変化」。怒りっぽくなったり、思いやりが薄れたりと、正しい行動がとれなくなってきます。
まずは自分の物忘れの度合を知らないと、対策は始められません。物忘れの度合=「脳年齢」がひとつの指標になりますが、脳年齢を測るツールとして真っ先に思い浮かぶのが「脳トレ」ではないでしょうか。
「脳トレ」は認知症の対策になるのでしょうか。脳トレが認知症予防になると証明している研究はなく、ゲームの成績こそ向上させたものの、論理的思考力や短期記憶はほとんど向上しなかったという調査結果もあります。
脳トレは脳の活性化になると謳われていますが、それは血流量が増加しているにすぎず、「脳の活性化」=「認知機能の向上」ではないということです。
参照元:あなたが必死になる「脳トレ」が無意味かもしれない科学的理由(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/56966?page=2)
脳トレのように、脳年齢を測れるツールが「脳検」です。脳検はセゾングループの脳活性総合研究所が、三重大学医学部附属病院・認知症センター長の佐藤正之先生監修のもと制作したツールで、認知症の前段階の正常な状態での認知機能が測れます。具体的に「脳検」と「脳トレ」がどう違うのか、比較してみましょう。
項目 | 脳検 | 脳トレ |
---|---|---|
目的 | 認知症前の脳の状態を把握し、 最適な対策を提示する検定 |
脳機能向上のため、 血流を増加するトレーニング |
監修医師 | 【佐藤正之医師】 所属部署:認知症医療学 専門分野:認知症医療学・神経心理学 |
【川島隆太医師】 所属部署:加齢医学研究所 専門分野:融合脳計測科学 |
費用 | 6,980円(半年) ※お申込から30日間は無料 |
3,480円 (「脳を鍛える大人のNintendo Switchトレーニング」パッケージ版) ※別途Nintendo Switch本体(29,980円)が必要 |
データ 蓄積 |
〇 脳年齢がグラフで表示され、同年代と比較可能 |
△ 脳年齢がグラフで表示されるのみ |
対策の 提示 |
〇 | × |
測定 内容 |
5種類
|
3種類
|
比較 対象 |
|
・前回の成績 |
公式 サイト |
引用元:任天堂公式HP(https://www.nintendo.co.jp/switch/as3ma/traning/)
脳検は、数字・言葉の記憶力、空間認知力、情報処理力などさまざまな要素を問う問題が、選択式で出題されます。一方、脳トレは単語や数字などを記憶する問題や計算問題が出題されます。
引用元:ファミ通.com(https://www.famitsu.com/news/201909/30184314.html)
脳検は数字の記憶や変化推理など5種類の脳年齢がでたうえで、医師監修者のコメントを表示。過去の記録や同年代の人と比較ができます。一方、脳トレは3種類の脳年齢が表示されるのみです。
いずれにせよ、脳トレも脳検も、直接的な認知症対策にはなりません。しかし、脳検のほうが視覚的にわかりやすく結果が出るうえ脳年齢も項目ごとに細分化されており、同年代との比較が可能。「危険な兆候」に気づきやすく、いまやるべき対策も出るので、脳検のほうが次のアクションが起こしやすいと言えるでしょう。
クレディセゾングループの「脳活性総合研究所」が制作した脳検は、三重大学医学部附属病院認知症センター長の佐藤正之先生が監修しています。
病院などで行なわれる認知症検査との最大の違いは、「認知症かどうか」を判定するのではなく、「正常な状態での認知機能(脳年齢)を調べる」検査という点です。
認知機能を同年代と比較したり、1年後の目標となる脳年齢、そして結果に応じた対策が出てくることも、脳トレとは異なるポイントです。
脳検をただやるだけでは対策になりませんが、健康的な運動・食事を継続していくうえでのモチベーション維持には心強い味方と言えるでしょう。
物忘れの予防・対策に有効と医学的に証明されている運動・食事のほか、それ以外にできる物忘れ対策もまとめました。いずれにせよ、行なった効果まで追わなければ、本当の意味での物忘れ・認知症対策にはなりません。注意しましょう。
物忘れ対策のひとつが、思考・学習・記憶・判断といった知的機能を測る認知機能検査です。認知機能を検査する方法はいくつかありますが、60歳以降の高齢者向けがほとんどで問題も易しいため、物忘れ初期段階の人にとってはやる意味がありません。認知症になる前の段階で脳年齢をチェックし、事前に有効な対策を講じられるのが、「脳検」です。
脳検
「ひとりでも多くの人の脳を活性化し、社会を活性化する」をモットーに掲げる脳活性総合研究所(脳活総研)。クレディセゾングループの脳活総研が世に送り出したのが、「脳活性度定期検査(脳検)」です。
「脳検」では約5,000人のデータと比較しながら、自身の脳年齢と偏差値を確認・比較が可能。過去の検査結果から、認知機能の上昇・低下のチェックもできます。同じく見逃せないのは、結果に応じた運動や食事、生活習慣の見直し方など、おすすめの対策を提示してくれることです。
費用は半年間で6,980円、1か月あたり1,163円。データによれば認知症の入院医療費が月額34万4,300円、通院医療費が月額3万9,600円ですので、1,000円ちょっとで認知症予防の準備ができると考えればお得ではないでしょうか。さらにお申込みから30日間は無料で体験することも可能です。
認知機能はいつどのように変化するか不透明ですし、継続的に測定しなければ自分が分岐点に立っているのかすらわかりません。自分の認知機能を定点観測できる脳検は、これまでの生活を見直す良いきっかけになるのではないでしょうか。
物忘れ対策に必ず取り入れたいのが、有酸素運動。身体を動かすことは脳細胞の活性につながり、筋肉を動かすことで脳の前頭葉が刺激されると言われています。1回20~30分の有酸素運動(ウォーキングや水泳、ヨガ、踏み台昇降運動、なわとびなど)を、週3回ペースで行なうのがベター。運動前には、必ずストレッチをすることをお忘れなく。
物忘れ対策は、運動とともに食事も大事な要素です。心掛けるべきは、低糖質・低塩分。糖尿病患者は、認知症のリスクがそうでない人に比べて2~4倍に高まるというデータがでている点も見逃せません。そのほか、たんぱく質・脂質・炭水化物・ビタミン・ミネラルの栄養素をバランスよくとりつつ、摂取カロリーを抑えるのが、脳の健康維持に繋がります。
サプリはドラッグストアなど手軽に購入できるのが魅力ですが、あくまで健康食品。治療効果が期待できるものではありませんので、留意が必要です。
さえざえは、DHAやイチョウ葉に加え、アミノ酸の一種であるギャバ、加齢とともに減少するPS(ホスファチジルセリン)といった6つの成分を補填するサプリです。値段は1,440円。うっかりが気になる方に。
医薬品には厚生労働省の認可を受け、効果や有効性が科学的に認められている製品があります。メモリーケアやワスノン、アレデルといったものが、物忘れの医薬品として名前が挙がります。
中年期以降の物忘れの改善を目的に、小林製薬から販売されているのが、ワスノン。物忘れを改善する効果をもつ生薬「オンジ」が配合されています。42錠1,000円、168錠3,700円の2種類あり、1回2錠ずつの1日3回の服用となります。 【副作用リスク】発疹・発赤、かゆみ、吐き気・嘔吐、食欲不振、胃部不快感、めまい
漢方とは、天然の植物などに由来する生薬を主成分とする薬のことです。物忘れ対策の漢方で注目すべきは、オンジ。厚生労働省の認可が下りている成分で、加齢による正常な物忘れの改善に効果があると言われています。
クラシエの漢方オンジ。言葉がなかなか出てこなかったり、ちょっとしたことが思い出せない人に向けた商品で、含まれている生薬のオンジには精神を安らかにする作用があると言われています。24包入りの1,600円。
物忘れ防止グッズはさまざま販売されています。値段もピンキリ。いずれにせよ、あくまで「防止」するためのグッズですので、根本的な解決にはならない点は注意が必要です。
物をなくすことが多い人は、紛失防止タグの購入がひとつの手です。そのなかで注目のひとつが、Tile Mateの忘れ物防止タグ。たとえば、スマホやカギにつけ、それらを落とした際、半径20m以上離れると通知してくれる機能が搭載されています。根本的な解決ではなく、あくまで、物忘れ防止という位置づけです。
物忘れが気になったら、物忘れ外来がある病院にかかるという方法があります。物忘れ外来は総合病院など大規模な病院に併設されているケースが多く、問診から神経心理学検査、脳の画像診断などを行なうのが一般的です。
御茶ノ水駅から徒歩5分にある、認知症専門のクリニック。大きくわけて、認知症心理検査と機器検査の2つを実施。機器検査は心電図や脳波計の測定のほか、連携している医療機関でMRIやSPECTなどの検査も行ない、多角的に分析してくれます。
所在地:東京都文京区湯島1-5-34 TEL:03-6801-8718
※詳細な治療内容は、クリニックにお問い合わせください。
その名のとおり、音楽を聴いたり演奏して心身の回復をはかる方法です。高齢者や発達障害者のケアなどでも活用されています。口を大きく開けたり、表情豊かに歌うことが、脳の活性化につながると言われています。
曲のすばやい変更やリズムで身体を刺激するフレッシュソングセラピーという歌唱法に基づき開発されたスマホアプリが、「音楽回想法」です。表示される歌詞が読みづらい場合の「歌詞の先読み」や「指定時間自動再生」、視聴中や歌唱前後の表情が自動的に撮影される「表情認識技術」といった機能が搭載されています。 月額980円ですが、有料会員登録後3か月間無料です。
一言に物忘れと言っても、考えられる原因はいくつかあります。大きく分けて、4種類。ひとつずつ見ていきましょう。
記憶は一般的に20代を境に、徐々に落ちていくもの。そのため、加齢とともに物忘れが多くなるのは、必然と言えます。加齢による物忘れだと判断するひとつのポイントは、「忘れていることを自覚しているかどうか」。忘れていること自体を自覚していない場合は、認知症による物忘れの疑いがあります。
ストレスがたまると、それをきっかけに食生活の乱れや寝不足を招き、集中力が低下。結果、物忘れが多くなります。休息がもちろん大事ですが、ストレスの元を断たないと意味がありません。認知症の発症リスクも、ストレスに遭遇する機会が多いほど上がるとの研究もあるのです。
物忘れが起こりやすい原因のひとつが、薬の副作用。睡眠薬や抗うつ剤、精神安定剤といった薬は、認知機能の低下などの副作用をもたらすことがあります。とくに高齢の方になると処方薬が増え、副作用が起こりやすくなるので注意が必要です。
物忘れが起こる原因としてもっともこわいのは、病気。認知症をはじめ、脳腫瘍、慢性硬膜下血腫といった脳の疾患が疑われます。脳以外では、無気力を引き起こす甲状腺機能低下、慢性、ビタミン欠乏症なども、物忘れを引き起こすことがあります。
物忘れと認知症は混同されがちですが、具体的にどう違うのでしょうか。
物忘れは加齢とともに増えてくるもので、誰にでも起こる自然な老化現象。歳をとると記憶の再生に時間がかかりますが、ヒントがあれば思い出すこともあるでしょう。日常生活に支障をきたさない限りは、問題ありません。ポイントは、「忘れている自覚があるかどうか」です。
よくある症状
物事を記憶する機能に障害が起きるのが、認知症。加齢による物忘れとの明確な違いは、「自分が経験した出来事自体を忘れてしまう」点です。
たとえば、食事したことを忘れていたり、以前に聞いたことを何度も聞いたり、直前のことを思い出せないなど。また、感情も変化し、怒りっぽくなったり、疑い深くなったりした場合は、注意が必要です。
よくある症状
引用元:FNN PRIME
https://www.fnn.jp/posts/000000062_000030748/201909111600_PRT_PRT
物忘れ・認知症対策に関するアンケートを見ると、「趣味を楽しむ」がもっとも多く、次いで「知的トレーニング」が票を集めています。いずれにせよ、いま行なっているその対策が、本当に意味があるものなのかを見極めなくては意味がありません。
認知症は発症してしまえば、手立てはありません。だからこそ、対策の結果、認知機能がどう変化したかを追わなければ、不安は解消されないのです。いまの脳年齢・認知機能を測れるツールが「脳検」。こうしたツールを活用し、すぐにアクションを起こすことが、本当の意味での対策になります。
物忘れの対策をするにあたって、基礎知識がないとその対策が無駄に終わってしまう可能性もあります。また、抱えている不安を拭うにも、情報が必ず必要です。物忘れに関する基本的な情報をまとめました。
「名前が出てこない」、「鍵を閉めたか不安になる」といった状態は、誰もが経験したことがあるのではないでしょうか。はたしてそのような経験は単なる物忘れなのか、それとも認知症の症状なのか。詳しく調べてみました。
全国で介護サービスを展開する「ケアパートナー」の三島卓さん(33歳)にインタビュー。介護保険施設・事業所において、質の高い認知症支援・技術を普及させることを目的とした「認知症介護実践者研修」を修了し、現在はケアパートナー五香というデイサービスのセンター長を務めているプロフェッショナルが語る、認知症のこわさ・対策とは?